TOP 特別展 年間スケジュール 夜の画家たち -蝋燭の光とテネブリスム-

特別展情報

  • 展覧会紹介


    西洋美術が頂点を迎えたバロック期(17世紀)において、フランスのジョルジュ・ド・ラ・トゥールやオランダのレンブラントらによって、夜や闇の背景から炎や灯の光によって対象を浮かび上がらせる劇的な場面を演出したテネブリスム(暗闇主義)が流行した。一方、日本では、近代になって初めて西洋美術に出会った画家たちがテネブリスムに魅了された。その一例を見た山本芳翠は「其画が全く光りのついてゐる様だ」と感心し、自らもこの新しい表現に取り組んでいる。

    そうした日本のテネブリスムとも言うべき独自の明暗表現が、江戸時代の司馬江漢や亜欧堂田善の銅版画、歌川広重や歌川国芳の浮世絵にはじまり、近代の高橋由一、中丸精十郎らの洋画、小林清親らの浮世絵から、鹿子木孟郎、高島野十郎らの洋画、近藤浩一路らの日本画、川瀬巴水の浮世絵にいたるまで続いていく。

    本展は、二つの文化の間で生まれたかつてないこの闇と光の世界の全貌を、着想源となったヨーロッパの巨匠ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品などとも対比させながら明らかにしていくものである。

     

     

    ◆序章:テネブリスムの歴史

    テネブリスム(暗闇主義)は、暗黒画面の中でモティーフに強い自然光をあてて明暗を強調したり、場面を夜に設定して蝋燭などの人工光によってモティーフをほのかに浮かび上がらせる表現方法として、カラヴァッジョ(1571-1610)に影響を受けたローマ画壇のカラヴァッジョ派の画家たちをはじめ、フランスのラ・トゥール(1593-1652)、フランドルのルーベンス(1577-1640)、オランダのレンブラント(1606-69)ら17世紀のバロック美術において流行した。その後も西洋絵画の伝統のなかで受け継がれ、やがて近代日本へもたらされることになる。

     

    201504-1.jpg

    ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 《煙草を吸う男》
    1646年 東京富士美術館蔵
    ©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNP artcom

     

    201504-2.jpg

    レンブラント・ファン・レイン 《十字架からの降下》
    制作年不詳 東京藝術大学蔵
    [展示:4/18~5/17]

     

    ◆第1章:江戸絵画と明暗表現の出会い

    日本絵画の歴史において、明暗表現を意識するのは江戸時代からである。司馬江漢や亜欧堂田善は、輸入された西洋の書物などから西洋絵画の陰影法を学び明暗のある夜景を銅版画に描いた。歌川広重や歌川国芳ら浮世絵師は、月夜や灯りを意識した斬新な構図で風景や美人画を発表した。狩野一信は、狩野派の伝統に飽き足らず、西洋絵画の技法を独学して仏画に応用している。彼らによって、日本のテネブリスムが始まった。

     

    201504-3.jpg

    狩野一信 《五百羅漢図》のうち
    江戸時代後期(19世紀) 東京国立博物館蔵
    Image:TNM Image Archives
    [展示:5/8~5/17]

     

    201504-4.jpg

    亜欧堂田善 《吉原土手の景》
    江戸時代後期(19世紀) 東京国立博物館蔵
    Image:TNM Image Archives
    [展示:5/19~6/14]

     

    ◆第2章:闇と炎に魅せられた画家たち

    江戸から明治の始めにかけて、西洋絵画を日本人が目にすることができたのは、細々と輸入された書物に載る石版画などであった。高橋由一や中丸精十郎らは、そうしたわずかなたよりから西洋の技法を学び、油彩技術の試行錯誤を繰り返して夜の風景を描いた。開国後、西洋へ渡った高官たちによって本場の油彩画がもたらされ、画家たちは、むさぼるようにそれらを学んだ。テネブリスムに感化を受けたのは、本多錦吉郎とその門下の松本民次、自らもフランスへ渡り研鑽に励んだ山本芳翠、木版画も手掛けた小林清親ら、明治洋画界の先駆けとなる画家たちであった。

     

    201504-5.jpg

    山本芳翠 《灯を持つ乙女》
    1892(明治25)年頃 岐阜県美術館寄託

     

    201504-6.jpg

    中丸精十郎 《異国風景》
    制作年不詳 山梨県立美術館蔵

     

    201504-7.jpg

    高橋由一 《中州月夜の図》 1878(明治11)年 宇都宮美術館蔵

     

    201504-8.jpg

    小林清親 《夫人像》 制作年不詳 東京藝術大学蔵

     

    ◆第3章:近代の街を描き出す版画家たち

    写真の普及で衰退した浮世絵は、小林清親の登場で新たな人気を獲得した。清親の描く風景画は、光と影を効果的に描写した「光線画」と称され、在りし日の江戸情緒と文明開化に湧く明治を巧に描き出している。井上安治、小倉柳村が続き、織田一磨が大正の東京風景を生み出し、さらに川瀬巴水が、浮世絵風景版画の伝統を継いだ。

     

    201504-9.jpg

    小林清親 《大川岸一之橋遠景》 1880(明治13)年 がす資料館蔵
    [展示:5/19~6/14]

     

    ◆第4章:明治~昭和 夜の闇と光 表現への昇華

    フランス留学から帰国した黒田清輝が指導にあたった東京美術学校から数多くの近代洋画界を担う画家たちが輩出し、個性的な明暗表現による作品が描かれた。一方、日本画においては、大正期におけるデカダンス(退廃的)な風潮を象徴して闇夜に浮かび上がる風景や人物が独特な雰囲気で描かれ流行を見た。以降、昭和にいたっても夜景に魅了される画家たちは後を絶たず、テネブリスムは継承されている。

     

    201504-10.jpg

    小林柯白 《道頓堀の夜》
    1921(大正10)年 大阪新美術館建設準備室蔵
    [展示:4/18~5/17]

     

    201504-11.jpg

    黒田清輝 《洋燈と二児童》
    1891(明治24)年 ひろしま美術館蔵

     

    ◆第5章:近代画家たちとバロックの闇

    明治期に留学した近代洋画家たちは、短期間のうちに数百年分の西洋美術の歴史や技法に向き合い、なおかつ同時代の新しい美術潮流に追随しなければならなかった。黒田清輝は、新しい外光派とともにレンブラントなどの古典の明暗表現にも学び、帰国後、それらを手本として示す使命感を持って制作に挑んだ。一方、須田国太郎は、テネブリスムの先駆けであるグレコを模写することで、印象主義が明暗に拘泥して色彩を失ったバロックへの解決として生まれたと考え、葛藤しながら自らの作品を生み出していったのである。

     

    201504-12.jpg

    須田国太郎 《エル・グレコ作「復活」模写》
    1921(大正10)年 京都市美術館蔵

     

    201504-13.jpg

    レンブラント・ファン・レイン
    《アルミニウス派説教師ヤン・アイテンボハールト》
    1635年 町田市国際版画美術館蔵
    [展示:4/18~5/17]

     

    201504-14.jpg

    原撫松 《レンブラント作「使徒パウロ」模写》
    1906(明治39)年頃 東京藝術大学蔵

     

     

  • 開催概要


    【名 称】

    夜の画家たち -蝋燭の光とテネブリスム-

     

    【会 場】

    山梨県立美術館 南館2階特別展示室

     

    【会 期】

    2015年4月18日(土)~6月14日(日)

     

    【休館日】

    4月20、27日、5月7、11、18、25日、6月1、8日

     

    【開館時間】

    9:00~17:00(入館は16:30まで)

     

    【主 催】

    山梨県立美術館 読売新聞社 美術館連絡協議会

     

    【後 援】

    NHK甲府放送局 山梨日日新聞社・山梨放送 テレビ山梨
    テレビ朝日甲府支局 朝日新聞甲府総局 毎日新聞甲府支局
    産経新聞社甲府支局 共同通信社甲府支局 時事通信社甲府支局 山梨新報社
    日本ネットワークサービス エフエム富士 エフエム甲府

     

    【協 賛】

    ライオン 清水建設 大日本印刷 損保ジャパン日本興亜

     

      一 般 大学生
    観覧料 1,000円(840円) 500円(420円)
    ※ ( )内は20名以上の団体料金、前売券、県内宿泊者割引

    ※高校生以下の児童・生徒は無料
    ※県内65歳以上の方(健康保険証等持参)は無料
    ※障害者手帳をご持参の方と介護の方1名は無料
    ※前売券は山梨県立美術館にて、3月18日(水)~4月17日(金)まで販売
  • 関連イベント


    ■記念講演会 ①「日本美術に見る夜」 

    【日時】 5月2日(土) 14:00~

    【講師】 平林 彰 (当館学芸員)

    【場所】 総合実習室 (申し込み不要、聴講無料)

     

    ■記念講演会 ②「ラ・トゥールとテネブリスムの画家たち」 

    【日時】 5月30日(土) 13:30~

    【講師】 平泉 千枝氏 (ふくやま美術館学芸員)

    【場所】 総合実習室 (申し込み不要、聴講無料)

     

    ■担当学芸員のギャラリー・トーク

    【日時】 5月16日(土) 14:00~

    【場所】 特別展示室(申し込み不要、本展チケットが必要)

     

    ■記念コンサート

    【日時】 4月26日(日) 14:00~14:40

    【演奏】 梨響チェンバーオーケストラ (弦楽合奏)

    【場所】 総合実習室(申し込み不要、入場無料)

     

    ■こども美術館「夜の絵画を探検しよう」

    親子でワークシートを使いながら展覧会を鑑賞します。

    【日時】 6月6日(土)  ①10:00~11:00 ②13:30~14:30

    【対象】 小学生とその保護者 (低学年は保護者の付添いが必要です)

    【定員】 30名 (申し込みが必要、参加無料)

    【申込期間】 5月6日~6月5日

     

    《申し込み方法》
    FAXまたは電話にてお申し込み下さい。その際、①~⑤の事項をお伝えください。
    ① 講座名・参加希望コース (午前 / 午後) ② 氏名 (ふりがな) ③ 年齢(学校名・学年)
    ④ 電話番号(Fax番号) ⑤ 参加される保護者名

    《申し込み先》
    山梨県立美術館「こども美術館」係
    TEL:055-228-3322 FAX:055-228-3324 

     

  • その他の年度の展覧会はこちら

    2017年
    2016年
    2015年
    2014年
    2013年
    2012年
    2011年
    2010年
    2009年
    2008年
    2007年以前
pagetop