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コレクション展

  • 山梨県立美術館のコレクション


       山梨県立美術館には、特別展示室の他に、ミレーとバルビゾン派の作品を中心に紹介する<ミレー館>、山梨ゆかりの作家たちの作品を中心に紹介する<テーマ展示室>、甲府市出身の著名な美術家、萩原英雄の作品やコレクションを紹介する<萩原英雄記念室>があります。これらの展示室では、年に4回展示替えを行い、常時「コレクション展」を開催しています。

     これまで独自のテーマで紹介してきた県美コレクションを、開館40周年を迎える本年度は、一年間のリレー企画「県美図鑑」として開催します。春季は日本画、夏季は現代美術、秋季は版画、冬季は洋画を中心に、名品をはじめ、学芸員こだわりの作品など、幅広く、また丁寧に県美コレクションの魅力を紹介します。

  • コレクション展Aミレー館 作品リスト


    第1室では山梨県立美術館のミレーコレクションを、第2室ではバルビゾン派の画家の作品を中心に展示しています。

    ミレー館 第1室
    ジャン=フランソワ・ミレーの生涯

     ミレーの世界

      ミレー館の第1室では山梨県立美術館のミレーコレクションをご覧いただけます。《種をまく人》のほか、《冬(凍えたキューピッド)》《鶏に餌をやる女》《夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い》《グレヴィルの断崖》《ポーリーヌ・V・オノの肖像》等を展示しています。新収蔵作品《角笛を吹く牛飼い》は9月11日から展示しています。

     

    ジャン=フランソワ・ミレー 
    《角笛を吹く牛飼い》 制作年不詳 油彩・板

     

     

     小特集:ミレーの風景表現

      本コーナーでは、オーヴェルニュの風景を鉛筆やインク、パステルで描いた習作と、ヴォージュ山中を旅行した際のスケッチをもとに遠景を改変して描いたパステル作品をご紹介しています。

     

    ジャン=フランソワ・ミレー       

     《ヴォージュ山中の牧場風景》 1868年 パステル・紙

     

     


    ミレー館 第2室
    バルビゾンの画家たち

    バルビゾン派・風景画の系譜

      ルソー、ディアズ、トロワイヨン、デュプレなど、フランスのバルビゾン村で制作を行った「バルビゾン派」の画家たちの作品を紹介しています。

    また、クロード・ロラン、ライスダール、クールベなど、西洋風景画を代表する画家の作品を展示しています。

     

     

    ギュスターヴ・クールベ 《川辺の鹿》 1864年頃 油彩・麻布 

      

    展示期間:2018年9月11日(火)~12月2日(日)
    ※季節に合わせて年4回展示替えを行っています。

  • コレクション展B テーマ展示室 作品リスト


    展示替えごとにテーマを設けて展示します。

    日本画、墨画、水彩画/「県美図鑑」Vol.3 版画

     

    日本画、墨画、水彩画

     山梨ゆかりの作家たちによる秋の情景を描いた日本画、墨画、水彩画をご紹介しています。

    ※本展示は、12月2日(日)までの展示となります。 

     

    望月春江秋の陽1975 絹本着色

      

     

    近藤浩一路《愛宕山暁雲「京洛十題」のうち》1924年 紙本墨画

     

     

    進藤春木《錦秋》1989年 水彩・紙

     

     

     

    「県美図鑑」vol.3 版画

      

    ゴヤ 闘牛技(タウロマキア)』連作 181516 エッチング、アクアチント、ドライポイント、エングレーヴィング

     

    当館は数多くの優れた版画作品を所蔵しています。今回は学芸員の視点を軸に、当館コレクションの中から選りすぐりの作品を展示することで、興味深い版画の世界を紹介しています。

     第1章は「名作新版画の競演-風景画・美人画・役者絵」、第2章は「山梨版画王国―葡萄の国の版画家たち」、第3章は「これも版画?版画の枠を超えた表現、新たな試み」、第4章は「名作劇場:版画の中の版画、ゴヤの「闘牛技」(全33点)を一堂に公開!」です。あわせて複雑と思われがちな技法についても分かりやすく紹介しています。これであなたも版画博士!

     

     

    第1章

    名作新版画の競演-風景画・美人画・役者絵

     

    「創作版画」と「新版画」

     

     日本の版画芸術における大きな動きとして、明治の後半期に「創作版画」運動が起こりました。「創作版画」は作家による自画・自刻・自摺によって生み出される版画で、山本(やまもと)鼎(かなえ)、石井(いしい)柏亭(はくてい)らがその推進を担いました。

     一方、浮世絵専門の画商・版元の渡邊(わたなべ)庄三郎(しょうざぶろう)は、欧米での日本美術ブームを背景に、明治の終わり頃より彫師、摺師を抱えて質の高い浮世絵の複製版画を制作し、欧米人だけでなく、国内の愛好者にも頒布していました。渡邊は「創作版画」とは異なる新しい版画、すなわち「新版画」を、画家・彫師・摺師の三者の共同作業によって制作する浮世絵の技法によって生み出したいと強く思うようになりました。その情熱は大正4年に橋口(はしぐち)五葉(ごよう)という才能にあふれた画家と出会ったことでようやく形となり、最初の「新版画」が出版されます。

     その後渡邊は、伊東(いとう)深水(しんすい)、川瀬(かわせ)巴(は)水(すい)、吉田(よしだ)博(ひろし)、山村(やまむら)耕(こう)花(か)、名取春仙(なとりしゅんせん)、笠松紫浪(かさまつしろう)、伊藤(いとう)孝之(たかし)らと組み、数々の優れた「新版画」を世に送り出しました。五葉や深水は美人画に才能を発揮し、巴水は専ら風景画を描き、耕花や春仙は役者絵を得意としました。五葉はすぐに渡邊の元を離れましたが、深水、巴水、耕花、春仙らは「新版画」の発展に大きな力を発揮しました。

     

    新版画作品

     

    二世中村鴈治郎《紙屋治兵衛(新版舞台之姿絵)》1952年 木版 

     

     

      二世中村鴈治郎は、初代中村鴈治郎の三男で、1965(昭和40)年、伝統歌舞伎保存会会員の第一次認定を受けた名優です。紙屋治兵衛は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃『心中天網島』の主人公。妻子がある身で遊女の小春と恋仲になり、最後は心中して果てるという、上方の和事を代表する役の一つです。

     人目を忍ぶ頬かむり姿で、道ならぬ恋に悩み苦しむ表情を浮かべる治兵衛。その表情と目元や口元の化粧が相まって、独特の色気が漂う艶のある作品となっています。名取春仙の役者絵は、美しい色彩と、役者や役柄に即した親しみやすい表現が特徴で、歌舞伎愛好家等の間でもてはやされました。

     

     

     

    第2章
    山梨版画王国―葡萄の国の版画家たち

     

      山梨はこれまでに萩原英雄、深沢幸雄、遠藤享、河内成幸、齋藤武士、山本正文、遠藤竜太らの優れた版画家を生み出してきました。今回の展示では、一貫した制作スタイルと職人気質な仕事振りで独自の世界を追求し続けている遠藤享、河内成幸、山本正文を紹介しています。

    山本正文《アナのトマト畑(連作『アナ』) 1994年 エッチング・アクアチント

     

      山本正文は、記憶の中の自然を、日本的な美しい色彩による抽象的イメージとして表現していますが、アナの連作は、作品に表された抽象的イメージが、山本の日常生活を連想させるものとなっている点で、少し異色な存在です。アナは誰かということについて山本は、スペインではアナという名前はたいへんポピュラーだから、スペインの全女性の象徴だと言っています。ただ、不思議と生きる喜びのような感情が伝わってくることから、山本の妻であるアナの存在を思わずにはいられません。

     トマトを思わせる赤がたいへん印象的です。背景に淡く刷り込まれた褐色のアーチ型は、山本によればカタルーニャの農家をイメージしたものだそうです。あるとき山本がふと目にしたカタルーニャの農村風景が、赤い色面と褐色のアーチ型のイメージで表現されています。

     

     

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    これも版画?版画の枠を超えた表現、新たな試み

     

      日本では1960年代末より版画に写真が取り込まれるようになります。そして80年代にはコンピューターグラフィックスも導入されるようになりました。その結果、「版画」の概念はより広義になり、近年では現代美術の表現手段のひとつとなっています。

     ここで紹介する藤田修と小枝繁昭は、写真撮影したイメージを用いて独自の表現を追求しています。秋山令一は、組み合わせた複数の箱型の立体物の中に、シルクスクリーンで印刷したイメージを閉じ込めるという表現を一貫して行っている作家です。シルクスクリーンによるイメージがたいへん重要な役割を担ってはいるものの、版画というより現代美術の枠の中で捉えた方がしっくりくるのが秋山の作品です。

     

    秋山令一《視ることの意味(セリーヌの場合)》1986年 複合技法

     

      秋山令一は、人間の誰もが潜在的に持っていると言われる狂気について、欧州の文学作家や思想家、芸術家を題材に、箱型の立体の中に版画とコラージュによるイメージを閉じ込める作品の制作に取り組み続けており、1986(昭和61)年、第2回山梨県新人選抜展で山梨県立美術館賞を受賞しました。

     ルイ=フェルディナン・セリーヌ(1894年~1961年)は、フランスの文学作家で、医者でもありました。著書に『夜の果てへの旅』、『なしくずしの死』などの過激な内容の小説があります。セリーヌには反ユダヤ主義者という一面があり、国家反逆罪の疑いで逮捕状が出され、デンマークなどで亡命生活を送ったこともありました。

     本作で秋山は、箱型の立体の中にセリーヌの幼少期の肖像と彼の小説の一節を刷り、実物の本を閉じ込めました。セリーヌはあどけない笑顔をこちらに向けていますが、彼の長じてからの生き方を考えると、不気味なものを感じます。また、モノクロームの画面からは死の気配のようなものが漂ってくる感じもします。

     

     

     

    第4章
    名作劇場:版画の中の版画、ゴヤの「闘牛技」
    (全33点)を一堂に公開!

     

      猛々しい牡牛と、それを迎え撃つ闘牛士たち。躍動感と緊迫感に溢れる闘いの一瞬が、スペインの大画家ゴヤ(1746~1828)の熟達したエッチングとアクアティントとの技によってドラマティックに表現されています。

     全33点からなる版画集「闘牛技」の前半の作品は、ニコラス・フェルナンデス・デ・モラティンの著書『スペインにおける闘牛の起源と発展に関する歴史的解説』の図解とでもいうべき性格を帯びており、後半の作品にはゴヤと同時代の闘牛士たちの名場面があらわされています。

     

     

    展示期間:2018年9月12日(水)~12月9日(日) ※「日本画 墨画、水彩画」は 2018年9月12日(水)~12月2日(日)
    ■コレクション展関連イベント
    「担当学芸員のギャラリートーク+大人のためのちょこっとワークショップ」
    コレクション展B(テーマ展示室)の内容の解説と、気軽な版画体験講座です。
    日 時:10月20日(土)午前10:30~
    場 所:テーマ展示室(コレクション展B) 
    ※申し込み不要、コレクション展チケットが必要です。

  • コレクション展C 萩原英雄記念室 作品リスト


      「古代への思い」

     今回の展示では、萩原英雄初期の代表的版画「古代の唄」シリーズと、「萩原英雄コレクション」の中から「日本古代の土器と埴輪」、「中国の古代美術」を紹介しています。

     「古代の唄」シリーズは、古代の遺跡や発掘物の装飾文様に見られるような形体が印象的な全16点のシリーズ作品です。一部の作品には萩原が考案した両面摺りが用いられています。この技法によってにじみやぼかしといった絵画的な表現が可能になりました。「古代の唄」シリーズとあわせて、古い物の持つ美に惹かれた萩原がコレクションした「日本古代の土器と埴輪」、「中国の古代美術」を展示します。

     

    古代の唄No.7 1965

     

    萩原英雄コレクション」は下の8つに大別することができます。

    ・浮世絵と明治石版画

    ・戦後日本の現代版画

    ・20世紀の西洋美術

    ・日本の古美術

    ・中国・朝鮮・日本の古文房具

    ・日本古代の土器と埴輪

    ・中国の古代美術

    ・アフリカの造形とアジア諸地域、中南米の形

     以上の蒐集品は、萩原芸術に影響を与えてより個性的で豊かな世界をもたらしただけでなく、見る側にとっては萩原芸術のより深い理解へと導いてくれる重要な作品群です。

    展示期間:2018年9月11日(火)~12月2日(日)
    ※季節に合わせて年4回展示替えを行っています。

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