フランス出身のクロード・ロラン(本名クロード・ジュレ。ロレーヌ地方出身のため「ロラン」と呼ばれる。)は、1627年の二度目のローマ行き以降、一度も帰国することなく、ここを終生の地とした。クロードの関心は空気遠近法的な効果に富む風景描写にあり、とりわけ朝夕の黄金色の太陽を背景にした港湾風景には定評がある。
クロードの描く風景は演劇の舞台のようなものであり、現実とは異なる理想的な世界としてあらわされている。本作品においては、人びとが伐採した木を船に運び込ぶ、夕暮れのいささか寂しげな情景が表現されている。
クロードは、『真実の書』と呼ばれる素描集を残しているが、これは、自分の油彩画にもとづく素描をおさめた作品目録である。本作品に対応する『真実の書』21番の素描には、「ナポリ」との書き込みがある。