1960年代、アメリカなどを中心に発展した芸術動向、「ポップ・アート」。大量生産された商品、広告やコミック、著名人のポートレートなどをモチーフに、現代生活や大衆文化テーマとした作品は色鮮やかに、そして時には社会風刺的に表され、その後の芸術の方向性を大きく変えました。本展ではロイ・リキテンスタイン、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルというアメリカのポップ・アートを代表する4人のアーティストを中心に、同時代に活躍したロバート・インディアナ、ジェームズ・ローゼンクイスト、トム・ウェッセルマン、ジム・ダインも合わせて紹介します。
本展の展示作品はスペイン出身のコレクター、ホセルイス・ルペレス氏が所蔵する版画やポスター約120点で、すべて日本初公開。時代を席巻したポップ・アートの作品の数々をぜひご覧ください。
ロイ・リキテンスタイン(1923-1997)は1961年、《ごらん、ミッキー》(ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵)を皮切りに、代名詞ともなるコミックストリップのイメージを引用した絵画制作を開始。レタリングや吹き出しを絵画に盛り込んだだけでなく、コミックで多用される印刷技法のベンデイ・ドットを直接参照するなどしました。その後は美術史上の作品や作風を参照した作品を制作するようになり、ピカソやポロックといった著名な芸術家の作品を自らのスタイルで再解釈しました。
本展ではリキテンスタインが参照した元のコミックも一部展示し、その創作過程を垣間見せます。
アンディ・ウォーホル(1928-1987)は1962年に連作〈キャンベル・スープ〉を制作、大量生産と反復をテーマにした作品は大きな反響を呼びました。その後は惨事の現場、マリリン・モンローといった著名人の肖像画連作をシルクスクリーンで制作し、マスメディアやセレブリティをテーマにした作品を発表しました。「ザ・ファクトリー」と呼んだニューヨークのアトリエでは映像作品の制作にも取り組み、パフォーマンス・アート、インスタレーション、執筆など、幅広く活躍しました。
本展では色鮮やかなマリリン・モンローの連作などを中心に、ウォーホルの代表的なイメージを概観します。
ロバート・ラウシェンバーグ(1925-2008)は1954年からは身の回りのものを作品に取り込む〈コンバイン〉連作の制作を開始し、翌年には使い込んだ寝具に絵の具などを加えた代表作《ベッド》(ニューヨーク近代美術館蔵)を制作しました。振付師マース・カニンガムの舞踏団の衣装や舞台美術を制作するなど、コラボレーションも多く、1984年には芸術をとおして相互理解を図る「ラウシェンバーグ海外文化交流(ROCI)」を立ち上げるなど、多岐にわたって活躍しました。
本展では1960年代から取り組み始めた版画作品を展示します。
ジャスパー・ジョーンズ(1930-)は1954年にアメリカ国旗をモチーフにした《旗》(ニューヨーク近代美術館蔵)をエンコースティック(蝋画)などで表しました。それ以来、星条旗の他に数字、円形の反復が特徴的な射撃の標的、アルファベットの文字といった「頭で既に知っているもの」をモチーフとした、作品を制作しました。1970年代からはハッチング(陰影をつけるための斜線)が画面全体を埋め尽くす作品も制作しました。
本展では星条旗、標的など、ジョーンズの代表的なモチーフを含む版画作品を展示します。
第1章 ザ・シクスティーズ
第2章 戦争をしないで、恋をしよう(音楽を奏でよう)
第3章 ポップ・アート、ファッションと出会う
第4章 ロイ・リキテンスタイン
第5章 アンディ・ウォーホル
第6章 ロバート・ラウシェンバーグ
第7章 ジャスパー・ジョーンズ
第8章 ロバート・インディアナ
第9章 ジェームズ・ローゼンクイスト
第10章 トム・ウェッセルマン
第11章 ジム・ダイン
第12章 1セント・ライフ
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山梨県立美術館 広報担当 輿石(コシイシ)・河野(コウノ)
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