種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品バルビゾン派・その他西洋美術大農園

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー
《大農園》

1860-65年頃 油彩・麻布 55.2×80.8cm

 パリの裕福なラシャ商の家庭に生まれ、同地で歿する。家族の反対もあり、画業に専念できるようになるのは26歳のときだった。古典主義の風景画家ミシャロンとベルタンに学び、1827年にサロン(官展)に初入選を果たす。三度にわたるイタリア旅行の他、フォンテーヌブローの森をはじめ、フランス各地を旅行し制作をおこなった。1850年頃からは、銀灰色を基調とした詩情あふれる作品を描いて人気を得た。1855年のパリ万国博覧会で大賞を受賞し、名実ともに評価を確立した。
 本作品は、1850年以降のコロー作品を特徴づける銀灰色を用いた詩情溢れる作例である。描かれるのは、コローがたびたび訪れていたパリの西郊外の小さな町ヴィル=ダヴレーの風景とされ、産業化されつつあるパリからは失われた、穏やかな田園風景が広がっている。前景にいる女性たちは4人とも田舎風の装いをしており、衣服に用いられた明るい色――白、黄、赤、青――は手前の地面の上にも置かれ、緑色の草地を彩っている。