種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術雨期

近藤浩一路
《雨期》

1951(昭和26)年 紙本墨画 54.3×61.0cm

 山梨県睦合村(現、南部町)に生まれる。上京して和田英作の門を叩き、東京美術学校(現、東京藝術大学)で洋画を学んだ。卒業後は漫画記者として人気を博し、一方で日本画へ興味を抱きはじめ珊瑚会へ出品した。1919(大正8)年、第6回院展で初入選を果たし、第10回院展出品の《鵜飼六題》、翌11回展《京洛十題》は、水墨画家としての地位を確立する代表作となった。以来、日本各地を周って名所風景を描き続けた。1936(昭和11)年の院展脱退後は、雄大な自然と人々の営み、果実や小動物などを気の赴くままに制作した。
 本作品は、どんよりと立ち込める雨雲のもとで、三人の農婦が黙々と田植えをする情景が描かれる。それほど大きくない画面ながら、田園世界が延々と広がる印象を与える。中国から取寄せた上質の画材と、様々な技法を駆使して常に新しい水墨画を生み続けた円熟期の名作である。