種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術二世中村鴈治郎、紙屋治兵衛(新版舞台之姿絵)

名取春仙
《二世中村鴈治郎、紙屋治兵衛(新版舞台之姿絵)≫》

1951(昭和26)年~1954(昭和29)年 木版 39.0×27.0cm

 山梨県櫛形町(現、南アルプス市)に生まれる。東京美術学校(現、東京藝術大学)日本画科中退。院展等に出品しながら、朝日新聞社で夏目漱石の『三四郎』等多くの新聞小説の挿絵を描く。1916(大正5)年、画博堂主催の「劇画展覧会」展に出品した《初世中村鴈治郎 紙屋治兵衛図》が、同年、渡邊版画展より木版画として出版され、好評を博した。これが契機となって役者絵版画家として歩み始め、昭和の役者絵に新時代を築いた。
 二世中村鴈治郎は、伝統歌舞伎保存会会員の第一次認定を受けた名優である。紙屋治兵衛は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃『心中天網島』の主人公。妻子がある身で遊女の小春と恋仲になり、最後は心中して果てる。人目を忍ぶ頬かむり姿で、道ならぬ恋に悩み苦しむ表情を浮かべる治兵衛。その表情と目元や口元の化粧が相まって、独特の色気が漂う艶のある作品となっている。