種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術石の花(赤)

萩原英雄
《石の花(赤)》

1960(昭和35)年 木版 87.0×58.0cm

 山梨県甲府市に生まれる。1938(昭和13)年に東京美術学校(現、東京藝術大学)油画科を卒業。1953(昭和28)年より肺結核のため3年間療養生活を送り、この頃より独学で版画制作を始める。1960(昭和35)年に東京国際版画ビエンナーレに出品し、神奈川県立近代美術館賞を受賞。62年にはスイスのルガノ国際版画ビエンナーレでグランプリを受賞した。その後も数々の国際展で受賞を重ねた。木版による多彩なイメージを表現し続け、新たな技法も多数生み出した。
 本作品は第2回東京国際版画ビエンナーレの受賞作品。萩原の開発した両面摺りの技法が使われており、紙の裏面に摺られた濃紺が表面に滲み出し、黒く細かな線が画面全体に広がるとともに、赤の色調もまた深みのあるものになっている。萩原は木版画の制作にあたって油彩のような色の層と画面の奥行きを出すことを目指していた。自然の事象を独自のイメージに捉え直し、深い色彩の木版画によって表現した作品である。