種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術サブウェイ No.8

佐藤正明
《サブウェイ No.8》

1975(昭和50)年 アクリル絵具・麻布 110.0×135.0cm

 山梨県甲府市に生まれる。1970(昭和45)年に渡米、ニューヨークのブルックリン美術館付属美術学校で1974(昭和49)年まで学ぶ。75年から「サブウェイ」のシリーズを始め、その後「ニュース・スタンド」シリーズへとスタイルは変化したが、一貫して人種、言語などニューヨークを象徴するテーマに取り組んできた。
 移住当初、佐藤は地下鉄に乗った際に途方もない不安感に襲われたと書き記していた。1970年代から人体やバス、タクシーなどに円錐を描くようになったが、「サブウェイ」シリーズでは、円錐が地下鉄と駅構内という空間へと広がり、大都市という生命体を表現するに至った。本作品では、通路の上下左右が無数の穴に覆われ、鑑賞者に立つこともままならない感覚を引き起こし、佐藤の感じた不安感が共有される。画面奥の時計の隣には広告も描き込まれており、こうした文字を取り入れる画面作りが後の「ニュース・スタンド」シリーズへと展開していった。