種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

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ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術惜春

望月春江
《惜春》

1978(昭和53)年 紙本着色 180.0×252.0cm

 山梨県西山梨郡住吉村(現、甲府市)に生まれる。東京美術学校(現、東京藝術大学)日本画科で結城素明に学んだ。1928(昭和3)年の第9回帝展と翌第10回展において特選を連続受賞して名が一躍世に広まる。後には文展、日展の審査員をつとめ、日本芸術院賞を受賞した。一方、東京女子高等師範学校(現、お茶の水女子大学)などで教鞭を執り後進を育成した。本県への貢献も高く、山梨美術協会を結成するなどして、1975(昭和50)年に山梨県特別文化功労者として表彰された。
 本作品は、大画面に貼り巡らされた金箔を背景に堂々と咲く満開の八重桜が描かれる。この桜には、様々な時間が同居している。いまだ咲かない蕾と今が盛りの花。かたや盛りのまま、落下する花が2つだけ描かれるのも見逃せない。花鳥画を得意とした春江は、常に写生を怠ることなく真摯に対象と向き合った。作風は伝統的な大和絵、なかでも墨、極彩色、そして金に重きを置いた桃山障壁画の雄渾さや琳派の装飾美に傾倒している。