種をまく 世界がひらく 山梨県立美術館

MENU
ホームコレクション主な収蔵作品日本の近現代美術ヨーロッパの危機

米倉壽仁
《ヨーロッパの危機》

1936(昭和11)年 油彩・麻布 80.3×100.0cm

 山梨県甲府市に生まれる。1935(昭和10)年の第5回独立美術協会展に初入選を果たし、翌年上京した。1939(昭和14)年には美術文化協会の発足に参加した。戦後は、1951(昭和26)年に同会を脱会、翌年に9人の創立会員でサロン・ド・ジュワンを結成し、以降は同会への出品を続けた。
 本作品は銀座紀伊国屋画廊での個展の出品作。個展に先立ち、米倉は雑誌に「世界の危機」という詩を寄せていたが、同年の7月に始まったスペイン内戦を思わせるものであった。本作品ではヨーロッパの古地図とひび割れた頭骸骨のイメージが重複され、その割れ目からは壊れた機械の部品のようなものが飛び出している。馬は、ラッパを持つ手とともに戦場の象徴とされているのかもしれない。画面左奥には動きを封じられた人の姿が見える。西洋の物質文明の崩壊と第二次世界大戦を予兆しているように感じさせる本作は、米倉の戦前を代表する作品であり、日本シュルレアリスム絵画の代表作の一つとも見なされている。