1837年にパリに出て、画家となるべく勉強した若いミレーは、何度か故郷のシェルブールに戻り、生活の糧を得るために肖像画を多く手がけた。本作品はミレー初期の肖像画で、伝統的な手法が用いられている。ここに描かれているのはシェルブールの仕立屋の娘、ポーリーヌ・ヴィルジニ・オノ。華奢な姿であらわされた彼女は、ミレーの最初の妻となった女性である。二人は1841年に結婚したが、3年後、あまり体の丈夫でなかったポーリーヌは、22歳でこの世を去ってしまった。そのときミレーは29歳。二人の間に子どもはいなかった。