一日の終わりを迎え、牧人が牛の群れを笛の音で呼び寄せている。パリ郊外、フォンテーヌブローの森で見られる、大きな岩が散在する地形の中、牛たちがゆっくりと帰路を歩んでいる。制作年は不詳だが、ミレーの作品の中で、自然の表現が豊かになっていった1850年代中頃以降の作品ではないかと推測されている。本作品では、夕暮れ時の大気の微妙な表現を描き出すことが関心事となっており、美しい色彩表現が用いられている。ミレーは本作品とほぼ同じ構図の作品に度々取り組み、1866年頃にはパステル画、晩年となる1872年にはより大きなサイズの油彩画を制作している。