1845年にミレーは、シェルブールで家政婦をしていたカトリーヌ・ルメール(1827-1894)と出会い、ともに暮らすようになる。以後30年、カトリーヌはミレーの良き伴侶となり、9人の子どもを育てた。本作品のモデルはカトリーヌとされる。この頃のミレーは、裸婦や可愛らしい女性をあらわした小品を多く制作していた。「裁縫をする女性」という画題はミレーが晩年まで好んで繰り返し描き続けたもののひとつ。裁縫の途中で眠りに落ちてしまった女性の右手中指にはめられた指ぬきや背後に置かれた静物など、細部まで表現されている。