宇田は、旧・市川大門町出身の祖父の足跡をたどる作品を制作しました。甲府市内でのレジデンスプログラムに参加しながら市川に通い、街の人々の話を聞き、地域でのリサーチを行うことで、祖父と街が歩んできた歴史を追体験することを試みました。その過程を写真におさめ一つの物語を紡ぐとともに、市川の特産品である和紙に着目、ビデオを投影するスクリーンを制作しました。山梨の歴史と地域に生きた個人の歩み、さらにはアーティストとしての自分を重ね合わせた複層的な物語をご覧いただき、鑑賞者一人ひとりの中に眠る物語が呼び覚まされる体験へとつながれば幸いです。