1988 年、「野外芸術祭」が未だ日本になかった時代、山梨県の白州町に音楽、演劇、舞踊、美術、建築、農業など、あらゆる表現に関わる人々が国内外から集い、稀有なお祭り「白州・夏・フェスティバル」が行われました。その後、「アートキャンプ白州」、「ダンス白州」とタイトルを変えながら、2010年まで続きました。その中心を担っていた田中泯は、農村地から都市を逆照射するかのように芸術の真髄を模索し発信しました。
本展ではその歴史を物語る記録映像や資料を展示し、「アートキャンプ白州」を山梨県で改めて紹介する機会とします。
「アートキャンプ白州」の始まりは1988年、数日間の祭り「白州・夏・フェスティバル」 からでした。打楽器奏者ミルフォード・グレイブスの来日および田中泯とのコラボ―レションパフォーマンス、剣持和夫、高山登、榎倉康二、原口典之といった現代日本を代表するアーティストの野外制作、東京沖縄県人会青年部によるエイサーなど、初年から多様な芸術が〈白州〉で展開されました。
本室では映像作家のチャーリー・スタイナーが1988年および1989年の〈白州〉を写した記録映像を展示し、最初期の〈白州〉を追体験します。
第1室では、〈白州〉の1年目および2年目の様子を収めた4本の映像をご覧いただけます。
映像1から映像4まで続けて上映いたします。(全4本の上映時間:57分20秒)
映像1の上映開始時間は下記のとおりです。
9:10/10:10/11:10/12:10/13:10/14:10/15:10(※1)/16:10(※2)
※1 全4本の上映最終回。4本をご覧いただく場合にはこの回までにご来場ください。
※2 映像4の途中で閉館となります。
「白州・夏・フェスティバル」 (1988-1992年)、「アートキャンプ白州」(1993-1999年) 、「ダンス白州」(2001-2010年) と、〈白州〉はその時代その時代で呼称を変え、様々な変遷を辿りました。
本室ではポスターや冊子、山梨放送のアーカイブ映像などを中心に展示し、〈白州〉の20年以上の歴史を視覚的にたどります。
【映像】永六輔が見た〈白州〉~山梨放送アーカイブ映像より~
山梨放送(制作著作) 2025 9分22秒
〈白州〉では多くの美術家が訪れ、作品をとおして「場」や「空間」をそれぞれ創り出しました。きっかけは、美術家の剣持和夫と田中泯との日々の会話の中から、美術作品が野外に撤去されずに朽ちるまで設置される展示があるとすれば…という構想から始まった。以降、高山登、榎倉康二、原口典之、他、たくさんの美術家たちが〈白州〉において、作品を制作しました。美術に加え、象設計集団の樋口裕康を中心に建築にかかわるワークショップも行われ、「竹のドーム」や「土の家」、その他、いろいろな「場」が創り上げられました。これらの「場」は、パフォーマンスを行うための「空間」にもなり、重層的な共鳴が繰り広げられました。第3室ではその様子を記録写真で辿ります。
同室では設立メンバーの重要な一人で同時通訳者、翻訳者、編集者でもあったアートプロデューサーの木幡和枝のインタビューも上映します。
【映像】
木幡和枝インタビュー 1988年、1989年の「白州・夏・フェスティバル」について
チャーリー・スタイナー(聞き手、編集)
2022 16分51秒
〈白州〉には様々な身体表現に関わる人々が先鋭なパフォーマンスを試みようと世界中から集いました。本展の最後の部屋ではパフォーマンスを中心とした記録映像や、田中泯のインタビュー映像を展示します。
【映像】
<白州>のパフォーマンス 市原湖畔美術館(編集) 2022 23分19秒
DANCE HAKUSHU 2005 リザ・アドリアン(監督、撮影、編集) 2005 1時間51秒
追悼 榎倉康二ー浸透する時間ー 1996 35分7秒
「白州・夏・フェスティバル‘89ハイライト」 木村功(撮影編集)、藤岡輝彦(編集) 1989 58分17秒
「アートキャンプ白州」とは何だったのか―田中泯が語る 山岡信貴(撮影編集) 2022 20分17秒