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ホーム 展覧会・イベント 特別展 印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展

印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展

―瞬間の美学、光の探求

2026年9月12日(土)~11月3日(火・祝)

 「印象派の先駆者」と呼ばれるウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)をご紹介する、日本では約30年ぶりとなる展覧会です。故郷ノルマンディーをはじめ各地を旅し、空や雲、海、牛の群れや浜辺に集う人々などを、瑞々しい色彩と軽快な筆致で描き出したその作品は、大気や光の様子を鋭敏な感覚でとらえています。戸外制作を重視し、常に変化する自然の「瞬間」を表現しようとする姿勢は、印象派の巨匠となる若きクロード・モネ(1840-1926)に大きな影響を与えました。本展では、油彩、素描、パステルなど約100点で、フランス風景画の発展に寄与したブーダンの魅力を新たな視点で問い直します。

1.「空の王者」と呼ばれたブーダン、自然の「瞬間」の表現

 ブーダンは、常に変化を続ける故郷のノルマンディー地方の空を鋭敏な感覚で描き続け、コローやボードレールから「空の王者」と呼ばれました。また、海景画も当時から高い人気を誇り、帆船の浮かぶ海や各地の港の情景はブーダン作品の代名詞とも言えます。
 光や大気、水などの不定形のものにとどまらず、変化する自然の諸相の「瞬間」をどう捉えたのか、ブーダンの探求をご紹介します。

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《ル・クロワジック》1897年 油彩・カンヴァス
アンドレ・マルロー美術館、ル・アーヴル
© MuMa Le Havre / Florian Kleinefenn

2.8つの切り口でブーダン作品を紹介

 本展では、ブーダンの作品を年代ごとに展示するのではなく、「海景」「空」「風景」「建築」「動物」「人物」「素描」「版画」の8つの切り口でご紹介します。ブーダンが関心を寄せ、描いたこれらの作品からは、従来の海景画のイメージだけにとどまらない、ブーダンの画業の多面的な魅力を感じることができるでしょう。また、先輩であるバルビゾン派の画家たちや、ブーダンを師と呼んだモネとの関係もご紹介します。

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《トルーヴィル街道、ビュタン近郊》1860-63年
油彩・カンヴァス
ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール
Honfleur, musée Eugène-Boudin /Illustria

3.「瞬間」の美学の結晶 習作や素描の意味

 ブーダンは、絵画において最も重要なのは素描であると考え、膨大な数の素描のほか、油彩やパステルなどによる習作を残しました。これらは完成作のための下絵ではなく、彼が戸外で目にした自然の「瞬間」を素早く記録したものであり、観察の記憶を引き出す重要な装置でした。これらの素早い筆致で描かれた自然の諸相は、あたかも抽象絵画のようですらあります。近代風景画の成立を担ったブーダン。その革新性が詰まった素描にもぜひご注目ください。

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《空の習作》1880年頃 油彩・板
個人蔵、ノルマンディー

名称
印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展
―瞬間の美学、光の探求
会期
2026年9月12日(土)~11月3日(火・祝)
開館時間
9:00~17:00(最終入場16:30まで)
会場
特別展示室
休館日
月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)
観覧料
一般1,000円(840円)、大学生500円(420円)※大学生は学生証を提示
※( )内は20名以上の団体料金、前売券、県内宿泊者割引料金
※前売券は8月12日(水)~9月11日(金)まで山梨県立美術館で販売(休館日を除く開館時間内)

次の方は無料
・高校生以下の児童・生徒(高校生は学生証を提示)
・県内在住の65歳以上(年齢が分かるものを提示、県外の方は一般料金)
・障害者とその介護者(障害者手帳を提示)
主催
後援
協力
監修
企画協力
主催:山梨県立美術館、山梨日日新聞社・山梨放送
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、NHK甲府放送局、テレビ山梨、テレビ朝日甲府支局、朝日新聞甲府総局、毎日新聞甲府支局、読売新聞甲府支局、産経新聞甲府支局、共同通信社甲府支局、時事通信社甲府支局、山梨新報社、 日本ネットワークサービス、エフエム富士、エフエム甲府
協力:日本航空
監修:ローラン・マヌーヴル
企画協力:ブレーントラスト

展示予定作品


1 海景 海景画家の誕生

 ノルマンディーの港町に生まれ育ったブーダン。画業の初期には海の絵は主軸ではありませんでしたが、1860年代後半から多くの海景画の注文に応えるようになります。ブーダンは各地の港町を訪れましたが、トルーヴィル、ディエップ、フェカンなど自然の要素の残る中規模の港を好んだようです。



《トルーヴィルの港の朝》 1888年
油彩・カンヴァス ランス美術館(inv. 907.19.31)
C. DEVLEESCHAUWER©
   

《ベルク、出航》1890年 油彩・カンヴァス
ランス美術館(inv. 907.19.34)
C. DEVLEESCHAUWER©




2 空 瞬間の美学、光の探求

 詩人シャルル・ボードレールはブーダンの空の習作に注目し、コローは「空の王者」、クールベは「熾天使」と呼んでブーダンの空の表現を称賛しました。とらえがたい雲や光の動きを観察したブーダンの「瞬間」への探求は、故郷の海沿いの変わりやすい空を相手に展開されたのです。



《ノルマンディーの海岸》1862-65年頃
パステル・紙 個人蔵
Courtesy Galerie de la Présidence, Paris
   

《干潮》1884年 油彩・カンヴァス
サン=ロー美術館
© Musée d'art et d'histoire de Saint-Lô, Pierre-Yves Le Meur




3 風景 バルビゾン派からの学び

 19世紀、バルビゾン派の画家たちを中心に自然主義的な風景画が隆盛をみますが、彼らはノルマンディー地方もよく訪れており、ブーダンは彼らから風景画を学びました。農民や荷車が行き交う道や、水辺の景色を対岸の建物や橋とともに描く構図には、バルビゾン派からの学びの成果といえます。



《コルドリーの道、トルーヴィル》1878年 油彩・カンヴァス
ブーローニュ=シュル=メール市立美術館
Musée de Boulogne-sur-Mer
   

《トゥークの古い港》1890年 油彩・板
ブーローニュ=シュル=メール市立美術館
Musée de Boulogne-sur-Mer




4 建築 旅する画家が見た風景

 ブーダンは木造や石造りの建築物も描いています。妻との結婚を機に繰り返し訪れたブルターニュや、オランダ、ヴェネツィアで、その土地の建物を作品にしました。不定形の雲や光の描写を得意とし、自分では堅固な対象を描くことは困難と言いつつも、自然の中の建築物を生涯描き続けました。



《ドルトレヒト》 1848年 油彩・カンヴァス
リベレツ州立美術館、チェコ
Collection of the Museum of Fine Arts in Liberec

   

《ヴェネツィア、サン・ジョルジョ・マッジョーレ》
1895年頃 油彩・板 
ランス美術館(inv. 907.19.38)
C. DEVLEESCHAUWER©



5 動物 身近なものへの眼差し

 ノルマンディー地方は牧畜でも知られています。 1880年代以降、この地に広がる豊かな牧草地で飼育される牛の群れを繰り返し描きました。

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《水飲み場の牛の群れ》1880年 油彩・カンヴァス
ランス美術館(inv. 907.19.33)
C. DEVLEESCHAUWER©

6 人物 戸外の群像表現

 ブーダンは、自然の中の人物像を描くことに関心を持っており、浜辺の海水浴客や漁師、川辺で洗濯をする女性などをたびたび描きました。

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《ブーダン夫人とモネ一家》 1875-77年頃 油彩・板
ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール
Honfleur, musée Eugène-Boudin /Henri Brauner

7 素描

 ブーダンにとって素描は対象の本質を理解するための手段でした。「樹々、空、船、海」と「人物研究」という2つのテーマで約40点を展示します。

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《トルーヴィルの海岸の貴婦人
(トルーヴィルの海岸のメッテルニヒ夫人)》
1863年 水彩、鉛筆・紙 ノルマンディー、個人蔵

8 版画

 ブーダン自ら制作した版画は2点のリトグラフと1点のエッチングが知られるのみです。しかし版画のもととなる素描をしばしば提供しました。それらのリトグラフやエッチング10点をご紹介します。

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《海景》1899年 エッチング・紙
ヴィラ・モンテベロ美術館
トルーヴィル=シュル=メール
Collection Musée Villa Montebello,
Trouville-sur-Mer 2021.0.33