本展は、明治工芸における超絶技巧のDNAを受け継いだ現代工芸と、超絶技巧が駆使された明治工芸を改めて紹介する展覧会です。現代と明治という隔たる2つの時代に制作された類まれなる作品を一堂に集めて展示し、時を超えた超絶技巧の世界に迫ります。
作家独自の技法により生み出された実物と見まごうばかりの作品たち。本展出品の作品の前では誰もがしばし立ち止まり、革新的な発想力とそれを実現する技術の素晴らしさに驚くだけでなく、どれだけの時間と労力がかかったのだろうと思いながら、見入ってしまうに違いありません。作家に対する畏敬の念が自然と沸き起こってくるでしょう。
本展では今注目の現代作家17名による木彫、漆工、金工、陶磁、ガラス、ペーパークラフト、刺繍などの作品と、明治工芸の逸品を合わせて約120点展示します。
『滴は板全体を掘り下げて浮き彫りにし、研磨してツヤを出しています。』
【陶磁】
稲崎栄利子の作品は土のリングが織りなす布のように軽くしなやかな磁器。
(曲げる、捻る、たたむなど、自由自在!)
【木彫】
鹿角を使った月下美人の花弁。
(花器に水を注ぐとゆっくり花が開く驚きの仕掛け。)
【七宝】
黒色釉を背景にした細やかな装飾に目を奪われます。
【金工】
糸瓜の陰から現れたヘビに気付き、逃げ出すカエル。
生き物による一瞬のドラマを高い技術で表現。