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テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本

2023年9月9日(土)~11月5日(日)

 人類史上に輝く繁栄を誇った古代ローマ。なかでも日本人が深い関心をよせるものの一つがテルマエ(公共浴場)であり、ヤマザキマリ氏による漫画『テルマエ・ロマエ』はテルマエへの親近感を一層高めました。本展では、絵画・彫刻・考古資料といった100件以上の作品や映像、模型などの展示品により、テルマエを愛した古代ローマの人々の生活を身近に感じていただくことができるでしょう。また、『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが案内人となり、古代ローマのテルマエとともに、日本の入浴文化も紹介します。ルシウスが浴場をとおして日本とローマを往復したように、それぞれの入浴文化を体感することのできる機会となるでしょう。

名称
テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本
会期
2023年9月9日(土)~11月5日(日)
開館時間
9:00~17:00(最終入場16:30まで)
会場
特別展示室
休館日
月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料
一般 1,000円(840円) 大学生 500円(420円)
※( )内は20名以上の団体料金、県内宿泊者割引料金
※高校生以下の児童・生徒は無料(高校生は生徒手帳持参)
※県内65歳以上の方は無料(健康保険証等持参)
※障害者手帳をご持参の方、およびその介護をされる方は無料

主催
後援・協力
【主催】山梨県立美術館、テレビ山梨、朝日新聞社
【後援】イタリア大使館、NHK甲府放送局、山梨日日新聞社・山梨放送、テレビ朝日甲府支局、朝日新聞甲府総局、毎日新聞甲府支局、読売新聞甲府支局、産経新聞甲府支局、共同通信社甲府支局、時事通信社甲府支局、山梨新報社、日本ネットワークサービス、エフエム富士、エフエム甲府
【協力】ヤマザキマリ、山梨交通、甲府青年会議所
展覧会公式サイト

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展示予定作品


序章 テルマエ / 古代都市ローマと公共浴場

 テルマエとは「熱い」という意味のギリシャ語「テルモス」に由来し、狭義には皇帝らによって建設された大規模公共浴場を、広義には古代ローマの版図内の公共浴場全体を指します。4世紀に記された2種類の『ローマ市総覧』によれば、当時ローマ市内には大規模な公共浴場は11を数え、小規模なものにいたっては 856〜951軒にのぼっていたといいます。
 ローマ市内のテルマエで今も地上に遺構がよく残っているのは、アッピア街道沿いに217年に建設された有名なカラカラ浴場と、ローマ市で最大のディオクレティアヌス浴場(302年頃)です。
 しかし大規模なテルマエの運営には、水道の管理・維持に加え、大量の燃料と奴隷を必要としました。温泉地にしても、たとえ温泉の利用は続いたとしても浴場施設が維持されることはなかったのです。そのため古代ローマの風呂文化は、中世には消え去ってしまいました。


《カラカラ帝胸像》212~217年
ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo©Luciano and Marco Pedicini




第1章 古代ローマ都市のくらし

 帝政初期には、ごく一部の特権階級と、増加する「大衆」の格差はかつてないほどに広がりました。下層民が住むのはインスラと呼ばれる高層の集合住宅で、住空間は極めて狭く、水道もなければ台所や風呂の設備もありませんでした。
 皇帝たちは大衆の不満を解消すべく、食糧の施与や見せ物など娯楽の提供という施策をおこないました。1世紀末〜2世紀初頭の風刺詩人ユウェナリスは、これを「パンとサーカス」と呼んで皮肉っています。テルマエも、大衆からの人気を得るのに大いに役立ちました。何人もの皇帝が、ローマ市に巨大なテルマエを建設しました。庶民たちのくらしは特別な日の見せ物と、毎日の仕事の後のテルマエによって彩られていたのです。


《ヘタイラ(遊女)のいる饗宴》1世紀
ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo©Luciano and Marco Pedicini




第2章 古代ローマの浴場

 公共の場にある浴場は、ローマ人の発明ではありません。そのルーツのひとつは若者たちが運動後に身体を洗うための水浴施設、もうひとつは医療行為として神域に設けられた入浴施設で、いずれも古代ギリシャに発しています。しかしそれを大衆の娯楽のために、驚くほどの規模へと発展させたのはローマ人でした。
 ローマ人にとって、テルマエは単に体を洗う場所というだけではなく、身体を動かし、汗を流し、多くの人と交流して、心身の健康を保つための場所でした。入浴に直接関係した種々の浴室のほかに、運動場やいくつもの部屋が付随していたのは、テルマエの複合娯楽施設としての性格を示しています。食事や音楽を楽しむ者もいれば、朗読会が催されるなど、文化サロンのような側面もありました。トラヤヌス浴場やカラカラ浴場には、図書館までもが併設されていたことが知られています。


《銅製把手付ガラス壺》3~4世紀
MIHO MUSEUM蔵

   

《アポロとニンフへの奉納浮彫》2世紀
ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo©Luciano and Marco Pedicini




第3章 テルマエと美術

 ローマの大規模なテルマエには、数多くの大理石彫刻も飾られていました。皇帝や浴場の建設者の肖像のほかに、神々の像や古代ギリシアの有名作品のコピーが、壁面に設けられたニッチや円柱の間の台座の上に並んでいました。主題は適当に選ばれたわけではなく、浴場にふさわしいものが選択されました。


《恥じらいのヴィーナス(ウェヌス・プディカ)》1世紀
ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo©Luciano and Marco Pedicini




第4章 日本の入浴文化

 本章では、日本の入浴文化について取り上げます。日本の入浴は、おおまかに、天然の温泉と、人工的な施設で行うものとに分けられるでしょう。火山列島のため豊富に温泉の湧く日本では、古くから各地の温泉が重要な資源として地域の住民によって守られ利用されてきました。
 人工的な入浴施設は、仏教の寺院内につくられ、汚れと穢れを清める場として広まっていきました。江戸時代には町の中に湯屋が整備され、お湯につかるという現代にいたる入浴のスタイルが定着しました。本章では、こうした日本の入浴に関する美術品や資料を紹介します。古代ローマに勝るとも劣らない関心をもって、この習慣を保ってきた日本の歴史の一端をみることができます。
 また、山梨の温泉にゆかりの資料も展示し、地域の温泉の魅力を改めてご紹介します。


土佐光起《武田信玄像》貞享5年(元禄元年・1688)
山梨県立博物館蔵
※展示期間:9月9日(土)~10月9日(月・祝)

   

三浦宏《湯屋模型》1980年代 個人蔵
撮影:石﨑幸治





平山郁夫シルクロード美術館
作品を多数出品いただいている山梨県内の平山郁夫シルクロード美術館でも古代ローマの作品が展示されます。

平山郁夫シルクロード美術館 ≫





ミュージアムショップ

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